地震被災地の屋根補修工事の遅延について

  この度の東北地方太平洋沖地震により被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
 今回の地震の影響により、東北地方、関東地方の広域エリアで屋根の棟瓦が崩れる災害がおきています。こうした被災の数多くは、現在、推奨されているガイドライン工法とは異なる施工方法によって瓦が施工されているものです。ガイドライン工法で施工されている屋根であれば、今回の地震での屋根への災害は、格段に少ないものであったと思われます。現在の工法であれば、瓦は安心して使っていただける建築材料ですので、耐久性や断熱性などの瓦の非常に優れた点をご理解いただき、瓦を屋根に使用していただきたいと考えております。
 
 現在、被災した地域では、瓦工事業者の方に、棟の修理の問い合わせが集中しているとのことで、修理にすぐに対応できない状況になっています。こうした状況についての理由を説明をさせていただきます。

1、屋根職人の不足 

 棟工事は手間のかかる工事であり、職人の技量が必要な工事です。被災地の屋根工事業者数も限られており、突然の被災に手が回らないでいます。
 今後は、全国から屋根職人の方の応援が入るものと思われます。応援も被災地域の屋根工事業者の方の元に入るため、屋根の修理依頼をされる方は、地元の屋根工事業者の方に依頼するように注意してください。
 こうした、震災の後には悪徳業者が出現して、高額な金額を請求されたり、稚拙な工事をおこなわれてしまう心配があります。昔から地域に根付いている事務所などがしっかりした工事店であれば、適正な工事をおこなってくれるものと考えます。

2、棟瓦の不足
 
 瓦が被災した建物では、和形(J形)という瓦が多く使われています。 現在は平板瓦(F形)が粘土瓦ではもっとも多く出荷されていますが、被災した建物は施工方法が確立される以前の古いものが多く、当時は和形が粘土瓦のほとんどを締めていました。また、その当時に流行した瓦の色として、ハイシルバーや青緑、青銅などが挙げられます。和形のそうした色は現在は出荷数量が非常に少なくなっており、急な注文には答えられないでいます。
 当社では和形は釉薬瓦は作っておらず、和形では銀いぶし瓦のみを生産しています。銀いぶし色については、色の流行に左右されないため、現在でもある程度の量を生産しているため、和形の標準的な棟瓦については、現在のところ対応できています。
 しかし、被災した屋根の棟を、乾式で施工できる7寸丸などの洋瓦の棟に変えてしまおうという動きがあり、銀いぶし瓦の洋瓦も出荷の少ない品種であるため、生産量が少なく、欠品をおこしています。当社では和形の銀いぶし瓦のほかに、平板、S形などの洋瓦も生産しています。和形の釉薬瓦の修理に、洋瓦の棟で代用しようという注文がおこなわれるため、洋瓦の棟瓦も色種によっては、欠品や品薄状態になっています。
 工場設備は、棟瓦や他の瓦を屋根の標準的な形状を考慮して、バランス良く、作るようになっており、棟瓦だけの増産には対応できないでいます。
 粘土瓦工場では生産量数%の棟瓦は品薄で、他の大量な瓦が残ってしまっているというのが現状の姿ですが、被災地に向けて優先的に棟瓦を出荷しています。

3、南蛮しっくいの不足

 先にも書きましが、現在の粘土瓦の主流は平板瓦です。平板瓦では棟は乾式で施工されることが多く、施工用の粘土や南蛮しっくいなどの使用量は和形に比べると少なくなっています。近年、和形の減少に伴い、日本国内の施工用粘土や南蛮しっくいの生産量は減少しており、しっくい製造から、撤退する業者もありました。
 生産量が減少しているところに、今回の地震では粘土や南蛮を必要とする和形の棟が被災してしまい、粘土や南蛮の不足状態がおきています。
 粘土や南蛮を使わずに、乾式でおこなう工法もあるのですが、その際には洋瓦の棟瓦を使うことになり、洋瓦の棟瓦も不足状態になっているのです。
 粘土、南蛮についても全国から、被災地に向けて出荷を向けていますが、現在は品薄状態となっていて、これも屋根工事業者の方が工事にすぐに取り組めない理由のひとつになっています。
 また、棟が崩れたのは粘土、南蛮の問題ではありません。粘土、南蛮を使っても地震に強い棟を作ることはできますので、修理する際に心配であれば、工事業者の方に確認してください。

 
 瓦工事は職人の熟練した技術を必要とする工事です。私ども粘土瓦製造メーカーとしても、地域に根ざした屋根工事業者の方への瓦の出荷を優先して、悪徳業者に材料が回らないように注意しています。現在は、すぐに修理依頼したくても、工事業者の方から修理まで時間がかかるかもしれないと言われるかもしれませんが、信頼できる屋根工事業者や工務店の方に工事依頼することが最善の方法ではないかと考えます。

2011年九州丸栄会研修旅行

 九州の当社取引先で組織していただいている九州丸栄会の研修旅行がおこなわれました。世界遺産を見ようという企画でおこなわれていますが、国内の一泊旅行で、行きやすい世界遺産には行きつくしてしまってきており、数年前の奈良の繰り返しになりますが、奈良と京都に行ってきました。

還元瓦が使われている平城宮

還元瓦が使われている平城宮

 1日目は、奈良で、唐招提寺、平城京跡、東大寺を見学しました。
唐招提寺、平城宮共に、屋根工事が最近おこなわれたため、瓦を見学しようという目的でした。どちらの建物も還元瓦が使われています。いぶし瓦は安土時代以降のものだという説があるため、それ以前の瓦は還元瓦であったのだろうということで、還元瓦になったのものと思われます。
 当社でも「黒いぶし」や「薄墨」という色名で商品化しています。
最近では日本より、中国語圏での問い合わせが多く、台湾や中国などの国の景観への関心の高さに、日本の方が景観に対する意識が低いように思われ、羨ましさを感じます。

清水寺を背景に記念撮影
清水寺を背景に記念撮影

 2日目は、京都に移動し、清水寺、御所、南禅寺、東本願寺を見学しました。
瓦屋根は普段、見慣れていますが、清水寺、御所のような檜皮葺きの屋根を見る機会は少なく、とても興味深い体験をすることができました。

さすがに奈良、京都は見所があり、何度来ても飽きることがないことを再度、実感しました。

雪景色

2月11日、今年2回目の雪が降りました。
写真は当社本社工場前の展示場の写真です。
当社の所在である愛知県の西三河地方ではほとんど雪が降らないため、
このように雪が積もった景色を見るのは数年振りのことです。
雪国の方からしたら、たいした雪ではありませんが
瓦工事が雪のために遅延し、瓦の出荷に影響があります。
瓦を輸送するトラック、屋根工事の職人さんには
雪による事故がないよう注意していただきたいと思います。

本社工場前に降る雪

本社工場前に降る雪

だるま窯復元プロジェクト

高浜市の方々と三州瓦の有志が集まって、高浜にある丸栄製瓦さんが持っているだるま窯を復元し、昔ながらの製法で瓦を制作し、12月18日に窯開きをしたので見てきました。
社名が当社と似ているため、誤解されることが多いですが、当社とは関係はありません。随分昔には取引関係があったようです。
12月11日に火入れがおこなわれ、衣浦グランドホテルにて、火入れに合わせて土窯サミットがおこなわれました。群馬や淡路など現存するだるま窯にかかわっている人に集まっていただき、だるま窯に関する報告会と、パネルディスカッションがおこなわれました。当社の会長も三州の昔を知る者として、パネラーで出席させていただきました。普段接することのないいろいろな粘土瓦産地の方と接する機会ができ、楽しい時間を過ごさせていただきました。
40年ほど前までは、碧南市の新川の川沿いにも、いくつもだるま窯を見ることができました。しかし、三州で現存するものは、高浜市の丸栄製瓦さんの一基を残すのみです。三州ではかなり年配の人しかだるま窯で瓦を焼いた経験がないため、今、復元しないと誰もわからなくなってしまうということで、復元プロジェクトがたちあがったようです。

だるま窯復元プロジェクト窯出し

だるま窯復元プロジェクト窯出し

 当社からも製造本部のO君に復元プロジェクトの手伝いをしてもらいました。ご苦労さまでした。

だるま窯によって焼成された瓦

だるま窯によって焼成された瓦

今のいぶし瓦は瓦を割ると中まで灰色をしていますが、昔の瓦は表面だけが灰色で中は白くなっていました。今回だるま窯で焼成された瓦も中までいぶしの入っていない、中が白い昔のような瓦を作ることができたようです。現在の大きな窯で焼いた瓦にはない味わいが有り、羨ましくも感じます。

秋葉講

三州瓦産地の中でも粘土瓦製造業者は、昔は高浜市の田戸地区と碧南市の新川地区に集中していました。当社は新川地区発祥の瓦メーカーです。昔は新川の川の両側に瓦メーカーの軒を連ねていました。石炭等の原料を船で運んでいたことと、瓦の出荷も船でおこなわれていた時代があったからです。
昔の工場は木造で、窯で火を使うため、火事が頻繁におこりました。
新川の瓦業者では現在も火の神様である静岡県の秋葉神社にお参りする風習が続いています。籤を引いて当たった会社が代参をおこない、各社のお札を貰ってきて、各社に配るのですが、以前はたくさんの会社があったため、籤にあたることは稀であったのですが、現在は新川の瓦業者が少なくなってしまったため、数回に一度はあたってしまいます。年配の人に聞いてもまちまちな事を言うため、この風習がいつから続いているのかは解かりませんが、20年ほど前に随分古い資料を見たことがあります。100社以上の名簿があったように思います。その資料も今は散逸してしまいました。
今年は総参りとのことで新川の瓦業者全員でお参りに行ってきました。20年ほど前には大型バスだったのですが、今回は欠席者も有り5人での総参りとなり、乗用車で行くことになりました。かつては泊りがけで行っていたのでしょうが、今では夕方までには充分帰ってこられます。

秋葉神社上社からの景色

秋葉神社上社からの景色

今回は上社に行ってきました。上社は山の上にあり、下社は山の麓にあります。車で行こうとすると上社から下社に行くのには約1時間かかるというので、位置関係がよくわかりませんでしたが、前回、籤であたったときに両方行ってみて、始めて位置関係がわかってきました。歩いても2時間とのことですが、車だととても大回りしなければならないようです。

秋葉神社上社での祈祷

秋葉神社上社での祈祷

代参の時には秋葉神社のお札と共に三尺坊というお寺のお札ももらってくることになっているのですが、いつも里坊というところでもらっています。三尺坊には行ったことがなかったため、前回来たときに、ナビで行こうとしたのですが、道がありませんでした。諦めて里坊に行き聞くと、歩いてでしか行くことはできないとのことでした。山道を1時間半かかるそうです。一度歩いて、下社から、上社、三尺坊に行ってみたいですが、同行者の同意は得られないように思われます。