2011 年 4 月 のアーカイブ

地震被災地の屋根補修工事の遅延について

  この度の東北地方太平洋沖地震により被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
 今回の地震の影響により、東北地方、関東地方の広域エリアで屋根の棟瓦が崩れる災害がおきています。こうした被災の数多くは、現在、推奨されているガイドライン工法とは異なる施工方法によって瓦が施工されているものです。ガイドライン工法で施工されている屋根であれば、今回の地震での屋根への災害は、格段に少ないものであったと思われます。現在の工法であれば、瓦は安心して使っていただける建築材料ですので、耐久性や断熱性などの瓦の非常に優れた点をご理解いただき、瓦を屋根に使用していただきたいと考えております。
 
 現在、被災した地域では、瓦工事業者の方に、棟の修理の問い合わせが集中しているとのことで、修理にすぐに対応できない状況になっています。こうした状況についての理由を説明をさせていただきます。

1、屋根職人の不足 

 棟工事は手間のかかる工事であり、職人の技量が必要な工事です。被災地の屋根工事業者数も限られており、突然の被災に手が回らないでいます。
 今後は、全国から屋根職人の方の応援が入るものと思われます。応援も被災地域の屋根工事業者の方の元に入るため、屋根の修理依頼をされる方は、地元の屋根工事業者の方に依頼するように注意してください。
 こうした、震災の後には悪徳業者が出現して、高額な金額を請求されたり、稚拙な工事をおこなわれてしまう心配があります。昔から地域に根付いている事務所などがしっかりした工事店であれば、適正な工事をおこなってくれるものと考えます。

2、棟瓦の不足
 
 瓦が被災した建物では、和形(J形)という瓦が多く使われています。 現在は平板瓦(F形)が粘土瓦ではもっとも多く出荷されていますが、被災した建物は施工方法が確立される以前の古いものが多く、当時は和形が粘土瓦のほとんどを締めていました。また、その当時に流行した瓦の色として、ハイシルバーや青緑、青銅などが挙げられます。和形のそうした色は現在は出荷数量が非常に少なくなっており、急な注文には答えられないでいます。
 当社では和形は釉薬瓦は作っておらず、和形では銀いぶし瓦のみを生産しています。銀いぶし色については、色の流行に左右されないため、現在でもある程度の量を生産しているため、和形の標準的な棟瓦については、現在のところ対応できています。
 しかし、被災した屋根の棟を、乾式で施工できる7寸丸などの洋瓦の棟に変えてしまおうという動きがあり、銀いぶし瓦の洋瓦も出荷の少ない品種であるため、生産量が少なく、欠品をおこしています。当社では和形の銀いぶし瓦のほかに、平板、S形などの洋瓦も生産しています。和形の釉薬瓦の修理に、洋瓦の棟で代用しようという注文がおこなわれるため、洋瓦の棟瓦も色種によっては、欠品や品薄状態になっています。
 工場設備は、棟瓦や他の瓦を屋根の標準的な形状を考慮して、バランス良く、作るようになっており、棟瓦だけの増産には対応できないでいます。
 粘土瓦工場では生産量数%の棟瓦は品薄で、他の大量な瓦が残ってしまっているというのが現状の姿ですが、被災地に向けて優先的に棟瓦を出荷しています。

3、南蛮しっくいの不足

 先にも書きましが、現在の粘土瓦の主流は平板瓦です。平板瓦では棟は乾式で施工されることが多く、施工用の粘土や南蛮しっくいなどの使用量は和形に比べると少なくなっています。近年、和形の減少に伴い、日本国内の施工用粘土や南蛮しっくいの生産量は減少しており、しっくい製造から、撤退する業者もありました。
 生産量が減少しているところに、今回の地震では粘土や南蛮を必要とする和形の棟が被災してしまい、粘土や南蛮の不足状態がおきています。
 粘土や南蛮を使わずに、乾式でおこなう工法もあるのですが、その際には洋瓦の棟瓦を使うことになり、洋瓦の棟瓦も不足状態になっているのです。
 粘土、南蛮についても全国から、被災地に向けて出荷を向けていますが、現在は品薄状態となっていて、これも屋根工事業者の方が工事にすぐに取り組めない理由のひとつになっています。
 また、棟が崩れたのは粘土、南蛮の問題ではありません。粘土、南蛮を使っても地震に強い棟を作ることはできますので、修理する際に心配であれば、工事業者の方に確認してください。

 
 瓦工事は職人の熟練した技術を必要とする工事です。私ども粘土瓦製造メーカーとしても、地域に根ざした屋根工事業者の方への瓦の出荷を優先して、悪徳業者に材料が回らないように注意しています。現在は、すぐに修理依頼したくても、工事業者の方から修理まで時間がかかるかもしれないと言われるかもしれませんが、信頼できる屋根工事業者や工務店の方に工事依頼することが最善の方法ではないかと考えます。